ブラックスワン(ネタバレあり)


プレッシャーで人は崩壊するんだねえ・・・。
ストレスってこええ!と心から思える映画でした。

あらすじはこんな感じ。
生真面目過ぎる故になかなか主役級の役に配役されることがなかった主人公の二ナ。
母子ともに協力しあって、誰よりもマジメに練習し、やっとつかんだ白鳥の湖のプリマという大役。
しかし、その大役を得たプレッシャーから、二ナの精神は段々と崩壊していくのであった・・・。


・・・ここまでのプレッシャーかかることって俺の人生にまあないけど、
でもわかるわあ・・・気持ち、と思いながら見てました。


俺は、高校時代にそれなりに強い球技チームのレギュラーだったのですが(さりげに自慢話を混ぜ込むw)、
大して実力もなかったのに、なぜか入部後すぐに試合にでるようになってしまい(そしてかぶせる自慢話w)、
それはもう、高校1年で当時15歳ながら胃が痛くなる経験をしました。
試合中に圧倒的に先輩の足を引っ張っている自覚。
同学年の実力のあるチームメイトからのねたみ、嫌み。
監督にいつ失望されるだろうか、という恐怖。
入部当初は、弱小中学出身の自分のレギュラー入りなど夢にも見ていなかったのですが、そうなった途端に今度は「決してこのポジションをはずされたくない・・・!」と強迫観念が出てくるんですよね。もう必死でした。
結局、高校3年間はなんとか頑張れたんですが、卒業とともにスパーンとその競技からも足を洗いました。自分の実力では大学生、社会人で通用しないことは分かっていたし、何より、競技生活がかなりハードだったので、このままではそれ以外の世界を知らないまま人生が終わってしまう・・・!と当時は思ったんですよね。


とまあ、話がそれましたが・・・、
二ナにとって、バレエはほんと彼女の人生全てだったのでしょう。
いい意味で「全て」だったわけではなく、彼女あまりにも無知で、バレエ以外の人生の可能性なんて考えもしなかったんじゃないかなあ、と。
そしてその全てをかけたバレエでやっと頂点に立つポジションに来れたときに、「決してこのポジションをはずされたくない・・・!」といった想いに支配されてしまったんだろうなあ、と思いました。結果、悲劇的な結末までなだれ込んでしまったのだろう、と。


ただ、
最後彼女は幸せ・・・というかほんと安堵したんだろうなあ。
最高のパフォーマンスをして、そしてプレッシャーを感じる必要から永遠に解放されたんだから。
バッドエンドだけど、
でも、彼女は満ち足りたんじゃないかなあ。
「It was perfect」とつぶやいた彼女のセリフは本当に心の底から出たんだと思います。


分かる、分かるよ、二ナ!
俺ももう競技やらなくていい、て思ったとき、
ほんと空がパアアアアと明るくなったような気がしたもん。


最後に考えたのは、自分の周りにいてくれる人の大切さ。
家族でも恋人でも友人でもどういう形でもいいんだけど、二ナも誰か一人でも、本当に心を許せる人が周りにいたら、もっと別の結末になってたのかもしれないなあ、と思いました。


誰も信じることができなくなる。
自分さえも。
それはとても辛いことだと思いました。


Atom&Mid-fielder評価 : 10点満点中平均6.0点