別れのとき


コテツが人間の言葉が分かればいいのにな、
と思うことがたまにあります。


「今日は雨だから散歩ないよ」
そしたらそんなにキラキラした目でいつまでも外出待たないかなー、とか。


「今食べなかったら夜までご飯ないからな!」
そしたらしぶしぶでも食べるかなー、とか。


「爪切らないと自分が困るんやぞ」
そしたらもうちょっと苦手な爪切りも我慢するのではないかなー、とか。


「今日はホテルでお泊まりだけど明日ちゃんとお迎えにくるから」
そしたら安心してホテルで一泊お泊まりできんじゃないかなー、とか。


とまあ、色々と、
コテツが少しでも日本語理解できればなあ、
と思うときはあるのですが、


今回、
コテツを本当に可愛がってくれてたクリーニング屋のおばちゃんが
他店舗に移ってしてしまうことに決まったことを聞いたとき、
「ああ、ほんとコイツ日本語分かればなあ・・・」と思いました。


ほぼ毎週末、
クリーニングに来るたびにかまってくれてたこのおばちゃんとは
会えるのもう今日が最後なんだよ、
てことが分かれば
コテツもきっと思うところあるんじゃないかなー、と。


いつも通り、
ちょろっとおばちゃんに甘えて、
「はい、もう僕満足です。
サンキューオールウェイズ!」
とばかりに帰ろうとしてる我が子を見ながら、
そう思いました。


もう会えないこと分からんねんもんなあ、おまえ、


と、
そう思いました。