借り暮らしのアリエッティ(ネタばれ有)

・・・千と千尋あたりで話の意味が分からなくなり始め、
ハウルの動く城では完全に置き去り。
崖の下のポニョを観て得たものと言えば、
ポーニョポニョポニョ♪エンドレス脳内再生だけという俺ですが、


やっぱり期待してしまう。
だってナウシカラピュタを生み出したジブリなんだから・・・!


そんな淡い期待を見事に打ち砕いてくれたアリエッティ
いや、ポニョ的な分かりにくさとかはなかったんですけどね・・・。


(以下、ネタばれありですのでご注意ください)


話の筋的には、

一見しっかりしてるかのようで、実はとことんドジっ子のアリエッティが、

人間宅から借り物をする初デビューで、
「決して見られてはいけない」のに見られる!というアチャー(ノ∀`)な展開。
ていうか、
実はデビュー前にすでに庭で発見されているという不用心っぷりアリエッティ
ビビるお母さん、冷静なお父さんの忠告「関わってはいけないよ」を無視して、
自分を見た男の子へ単身リターンマッチ「私たちにこれ以上関わらないで!」


お前がな・・・!


この啖呵切りにより、男の子、妖精の存在を完全コンファーム!
大きなお世話マックスな男の子、ドールハウスのキッチンをアリエッティ宅に神のごとく増築。
結果アリエッティ宅、半崩壊。
もうこれは無理だ、と腹をくくって引っ越し準備をするおとんとおかん。
なんか納得いかないアリエッティ
納得いかないので、「お母さんのことよろしく」と頼んで引っ越し道を確認しに行ったおとんの指示を完全スル―し、おかんを置いて再び単身、男の子のところへ。


「君たちは絶滅する種族なんだよ」
「しないわ!(泣)」
「ごめん、しない。」


・・なんなの?君たちはツンデレを楽しんでるんか?
で、この和解(?)後、お手伝いさんに捕獲されてしまったお母さんを助けに、アリエッティと男の子はタッグを組むのですが・・・。この時、興味深かったのが、今回の一連の出来事の最大責任者である憎むべき男の子にいつの間にかアリエッティは頼りきり、そしてなんなら少し恋心的なものも見せるんですよね。これって俗にいう、ストックホルムシンドローム、なのでは?
なにせ最初にアリエッティを見つけたのも男の子なら、角砂糖を置いて誘惑(ま、これはひっかかるアリエッティが悪い)をしたのも男の子。彼女たちの家を探りあて、無理からリフォームで半壊させたせいで、結果お手伝いさんが小人の存在に気づいてしまう・・・てか全部コイツやん!とこちらは観てて思うのですが、アリエッティはもう(ちょっと不気味な)男の子に感謝感謝の嵐。


( ;゚д゚) スゴイ違和感あるわあ・・・


アリエッティもそうだし、男の子もそうだし、なんか、登場人物みんなの行動にいまいち納得いかなかったよ・・・と映画後、ブツブツつぶやく俺に相方が言いました。


( -w-)でもさ、登場人物はそれぞれ自分の視点では、正しいことしてると思ってるんじゃない?

Σ(゚Д゚;)確かに・・・!


全体像が見える観客の視点で考えるといまいち納得いかないストーリーなのですが、それぞれの登場人物の視点で考えると、彼らの行動も理解できます。

なんとか自分のミスをリカバーしようと行動し、どんどんどん詰まりになっていくアリエッティ・・・。
心臓病を患ってる男の子も、小人を捕まえるお手伝いさんも、それぞれの視点だけで考えると、自分の知りうる情報で、正しいと思ってることをしてるに過ぎないんですよね(男の子に若干確信犯的な気配有り、ですが・・・)。
物語は結局はハッピーエンドとはいえない終わりをしますが、現実社会においても、各々それぞれの思惑で動いていると、結果としては最善なものに到達しないことはよくあること。だからといって、他の人を責めるのは少し違うということ・・・そういうことを映画のメッセージとして伝えたかったのかなあ・・・なんて思いました。
後、若干思ったのは、登場人物の誰一人、自分が悪いかも?とは思っていないんですよね。男の子も、お手伝いさんも、当の本人のアリエッティですら、人間に見つかるというミスをしたこと自体には後悔するものの、その後も傍から見てると勝手な行動ばかりを起こしていく・・・。自分を省みて、他人の視点や気持ちになって考えて行動しないと、他の人を巻き込んで迷惑をかけていく・・・というメッセージも含まれてたんでしょうか?少なくとも俺はそう思いました。


甥っ子や姪っ子に見せて、


「で、誰が一番悪者と思う?」


と意地悪な質問をしたくなる、そんな映画でした。
お手伝いさん!と答えるようなら、
やつらもまだまだでしょうな。


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